今回は、美容師が義務(ルール)に違反した場合に受ける処分について説明します。
美容師の義務については「美容師の義務」で説明していますのでそちらも参考にしてください。
この記事では、
・業務停止処分はどういった場合に受けるの?
・業務停止処分を受けるとどうなるの?
・免許取消処分はどういった場合に受けるの?
・免許取消処分を受けるとどうなるの?
これらの疑問にお答えしています。
ー目次ー
本ブログの情報提供者
本ブログの管理人は,熊本県弁護士会所属の弁護士です。
弁護士のほかには,外国人実習雇用士という資格試験に令和2年に合格しました。
また,理容学校にて関係法規を2年教え,現在は美容学校にて関係法規の科目を担当しています。
美容師試験の勉強のために本ブログを読むかたは「美容師法のポイント」をまずお読みください。
このブログ自体を初めて読まれる方は時間があれば「本ブログの説明」も併せてお読みください。
業務停止処分
まず業務停止処分から説明します。
業務停止処分が出されるパターンは以下の3つです。
①美容師が講ずべき衛生措置義務に違反した場合(衛生措置義務違反)
②美容所以外での業務を行った場合(美容所以外での業務禁止違反)
③伝染性の疾病の感染防止義務に違反した場合
これらは、「美容師の義務」で各義務の詳細を説明しているので、各義務自体を確認したい人はこちらを見てください。
業務停止処分は、都道府県知事(又は保健所設置都市市長)が行います。
処分としては「○ヶ月は業務をしてはいけません。」というものが出ます。
この期間中は、免許証が回収されます。
そのため、業務停止処分を受けた人は、速やかに処分を行った都道府県知事(又は保健所設置都市市長)に対して、免許証を提出しなければなりません。
免許取消処分
続いて免許取消処分について説明します。
免許取消処分が出るパターンは以下の2つです。
①業務停止処分期間中に業務を行った場合
②心身の障害により、業務を適正に行うことができないと判断された場合
まず①の場合ですが、先ほど出てきた業務停止処分を受けた美容師は、一定期間業務をすることが禁止されます。
しかし、お金を稼ぐためにどうしても美容業をやってしまう人も一定数います。
そういった人は、ルール違反をした上、さらにルール違反をしているのですから、この後美容師として働いている間もルールを守る保証がありません。
そこで、そういった人を美容師として認めてはおけない!ということで免許取消処分が出されます。
次に②の場合ですが、「美容師になるまで」の免許欠格事由のところで説明しましたが、「心身の障害により美容師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定める者」は美容師試験に合格しても美容師免許がもらえませんでしたね。
これは免許を受ける前の段階での話でした。
ただ、免許を受けた後の段階においても、心身の障害が生じ、適正な業務ができなくなってしまった人に美容師を続けさせることは望ましくないですよね。
そこで、そういった人についても免許取消処分が出されます。
免許取消処分は、厚生労働大臣が行います。
この免許取消処分を受けた人は、速やかに処分を行った厚生労働大臣に対して、免許を返納しなくてはなりません。
このように免許取消処分を受けた人であっても、「再免許」という制度を利用することで、改めて免許を取得できる場合があります。
ちなみに、「再免許」と似た言葉で「再交付」という言葉もありましたが、覚えているでしょうか。
詳しくは、「美容師の義務」の最後で違いを説明していますので、改めて確認をしておいてください。
処分の比較
以上が、美容師の受ける処分でした。
この処分に関する問題はよく「ひっかけ問題」が出てきますので、ひっかからないように注意してください。
ポイントは、①誰がする処分が、②どんな時に受ける処分か、③受けた後どうすればよいか、の3点です。
②については上に詳細があるので割愛しますが、
業務停止処分=①都道府県知事(又は保健所設置都市市長)がする処分で、③処分を受けた人は、速やかに都道府県知事(又は保健所設置都市市長)に免許証を提出しなければなりません。
これに対し、
免許取消処分=①厚生労働大臣がする処分で、③処分を受けた人は、速やかに厚生労働大臣に免許証を返納しなければなりません。
この違いを押さえておきましょう。
最後に
いかがだったでしょうか。
この業務停止処分と免許取消処分は必ず試験に出題されるものです。
そして非常に間違えやすいです。
業務停止処分に関するものと免許取消処分に関するものはそれぞれ異なる色で分類して、見た目で間違えないようにしましょう。