美容室を開設した後は・・・

前回は美容室を開業するにあたっての義務を説明しました。
今回は、美容室を開設した後の開設者の義務について説明していきます。
この記事では
・美容院を開設した後に開設者が負う義務は?
・管理美容師ってなに?どうやったらなれるの?
・美容院が備えておくべき設備は?
これらの疑問にお答えしています。

本ブログの情報提供者

本ブログの管理人は,熊本県弁護士会所属の弁護士です。

弁護士のほかには,外国人実習雇用士という資格試験に令和2年に合格しました。
また,理容学校にて関係法規を2年教え,現在は美容学校にて関係法規の科目を担当しています。
美容師試験の勉強のために本ブログを読むかたは「美容師法のポイント」をまずお読みください。
このブログ自体を初めて読まれる方は時間があれば「本ブログの説明」も併せてお読みください。

開設後の義務ー管理美容師の設置

開設後の義務、1つ目は、管理美容師の設置です。

管理美容師というのは、美容室(美容所)の衛生管理についての責任者の地位にある人をいいます。
管理美容師は、自分の所属する美容室(美容所)において衛生措置が適切になされているかを確認する役目を負っています。
よくある引っかけとしては「管理美容師は、美容室(美容所)を経済的に管理させるために置く」という選択肢がでてきますが、経済的ではなく衛生的に管理させるためですのでご注意ください。

この管理美容師は、美容師である従業員の数が常時2人以上である美容所には必ず置かなければなりません。
この「常時2人以上」という点は、繁忙期で応援を頼む等一時的に美容師が2人になる美容室は義務の対象としないという意味になります。
そして一人の美容師が、複数の美容所で管理美容師となることはできません
そのため、美容師である従業員の数が常時2人以上の美容所を4つ経営するならば、4人の管理美容師を各店舗に配置しなければなりません。
開設者自身が、美容師で、管理美容師の資格を有している場合には、開設者は自ら開設した美容室(複数開設している場合はその1カ所)の管理美容師となることができます。

説明したように、管理美容師は、複数人の美容師を雇っている美容室に必要不可欠です。
では、どうすれば管理美容師の資格を得ることができるのでしょうか。

管理美容師は、①美容師の免許を受けた後、3年以上美容の業務に従事し、且つ②厚生労働大臣の定める基準に従い都道府県知事が指定した講習会の課程を修了した者、がなることができます。
②の内容が意味分からんくらい細かいですが、単に講習会に出ないといけない!くらいに覚えておけば十分です。

管理美容師を置かなければならない美容室において,管理美容師を置かなかった場合,当該美容室には,閉鎖命令が出されます。
この閉鎖命令は,都道府県知事(又は保健所設置都市市長)が発令します。
閉鎖命令を受けた美容室は,一定期間使用することが禁じられます。
閉鎖命令は、業務停止処分の店舗バージョンだと思ってください。

開設後の義務ー変更届

開設後の義務,2つ目は変更届出の義務です。

美容室を開業するには?」で説明していますが,開設者は,美容室を開設する際に,美容室の名前や住所等を届出る必要がありましたね。
その届け出た事項に変更があった場合には,その変更の届け出もしましょう,というお話です。
届け出る先は,都道府県知事(又は保健所設置都市市長)です。これは開設前の時と同じです。
届出た事項に変更が生じたにもかかわらず,変更届けをしなかった開設者は,30万円以下の罰金処分を受ける可能性があります。

開設後の義務ー衛生措置

開設者の義務、3つ目は、美容室内の衛生措置についての義務です。

美容師の義務」でも出てきましたが、美容師は、衛生措置についての義務がありましたね。
これと同じように、開設者にも衛生措置についての義務があります。義務の内容は以下の通りです。

①美容室を常に清潔に保つこと
②消毒設備を備えること
③採光、照明及び換気を充分にすること
④その他都道府県が条例で定める衛生上必要な措置
一つずつ解説していきます。
*この①から④の義務は、開設前の時点でクリアされていなければならないものです。検査確認では、まさにこの①から④をクリアしているかが検査されることになります。そして、開設後は、美容室の使用をやめるまで①から④の義務を負い続けます

美容室を常に清潔に保つこと
開設者は、美容室を常に清潔に保つことが義務づけられています。
その詳細として
ア)床及び腰板にはコンクリート、タイル、リノリューム又は板等の不浸透性材料を使用すること
イ)洗い場は、流水措置とすること
ウ)蓋付きの汚物箱及び毛髪箱を備えること
が要求されます。
面倒なくらい細かい内容となっていますが、過去の出題では太字にしたところで引っかけてくる傾向にあるので、太字のところだけ気をつけておいてください。

消毒設備を備えること
美容室で使う器具等は消毒するように、というのが美容師の義務としてありましたね。
その義務を果たさせるために、開設者としては、消毒設備を備えておく必要があります。
美容室とかによく電子レンジ?みたいで、中に紫とか青い色を電飾がはいている箱ありますね。
あれです、あれ。

採光,照明及び換気を充分にすること
みなさんも髪を切ってもらう場所が真っ暗だったらいやですよね。
また、換気がなされていない空間で切ってもらうっていうのも(最近コロナウィルスの関係もあって)嫌だと思います。
開設者には、採光、照明、換気を充分にする義務があり、また以下の余に細かく要求されています。
ア)作業面の照度は100ルクス以上とすること
イ)空気1リットル中の炭酸ガスの量を5立方センチメートル以下に保つこと
これまた細かい話ですが、太字のところだけまずは覚えてください。
ここが引っかけとして出されます。

その他都道府県が条例で定める衛生上必要な措置
美容師の義務のところでもありましたが、条例は法律がカバーできないところを規定しています。
そのため、地域毎で美容室が備えておくべき衛生上の措置があれば、それが条例で規定され、開設者はそれを守らなければなりません。

開設者や美容師が守るべき衛生措置義務に違反した場合には,美容室に対して閉鎖命令が出されます。
閉鎖命令は,都道府県知事(又は保健所設置都市市長)が行います。

ただ,美容師がルール違反をした場合の業務停止処分の場合と異なり,開設者が閉鎖命令を受けることを逃れる場合があります。
美容師が衛生措置義務に違反した場合において,美容師の当該違反行為を防止するために開設者が相当の注意及び監督を尽くしたときは,例外的に閉鎖命令がなされません。
ちゃんとルールを守ろうとしている開設者を保護するためにこのようになっています。

美容室をそのまま引き継ぐにはー地位の承継

開設者に関するお話,最後は,開設者の地位の承継です。
「開設後の義務」としていますが,義務というよりは制度的なお話です。

親が経営していた美容室を自分が相続する場合,改めて美容室の開設届や検査確認をするのはめんどくさいですよね。
そのため,「自分が開設者の地位を引き継ぎますよー」と届け出をすれば,その地位を引き継げる制度が,地位の承継という制度です。
この届出先は,都道府県知事(又は保健所設置都市市長)です。

最後に

開設者のところから一気に情報が増えてきた感じがしますね。
また、新たな処分として閉鎖命令という言葉も出てきたので、業務停止処分や免許取消処分と混乱している人もいると思います。
開設者に関する情報は画像だけに収まっていないので、補足説明を見ながらポイントを押さえていきましょう。

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この記事を書いた人

宮田総合法律事務所所属弁護士(熊本県弁護士会・59900)
熊本生まれ。出水南→熊大附属→熊本→熊本(法・法科)→72期・熊本。
平成30年司法試験合格,平成31年・令和元年司法修習
令和2年1月熊本県弁護士会登録、同年5月第2回外国人実習雇用士試験合格
九州美容専門学校にて関係法規担当(令和2年~)

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