開設者がルールに違反したら

前々回前回は,開設者の義務について説明しました。
今回は,義務に違反した場合に開設者が受ける罰(ペナルティ)についてお話します。
この記事では
・どういった場合に、美容院は閉鎖命令を受けるの?
・開設者が罰金を受ける場合はあるの?
これらの疑問にお答えしています。

本ブログの情報提供者

本ブログの管理人は,熊本県弁護士会所属の弁護士です。

弁護士のほかには,外国人実習雇用士という資格試験に令和2年に合格しました。
また,理容学校にて関係法規を2年教え,現在は美容学校にて関係法規の科目を担当しています。
美容師試験の勉強のために本ブログを読むかたは「美容師法のポイント」をまずお読みください。
このブログ自体を初めて読まれる方は時間があれば「本ブログの説明」も併せてお読みください。

閉鎖命令

まず閉鎖命令から説明します。

閉鎖命令は
①管理美容師を置かなければならない美容室に管理美容師を置かなかった場合
②開設者が美容室についての衛生措置を怠った場合
③無資格者又は業務停止処分中の美容師を自身が開設した美容室で働かせた場合
④美容室で働く美容師が衛生措置を怠り、且つ開設者が相当な注意及び監督を怠っていた場合
の以上4つのいずれかに該当した場合、その美容室に対して発せられます。

①、②、④については開設者が美容室を開設した後の義務として前回の記事に記載があります。
そのため、ここでは詳細は書きませんが、
①について、管理美容師を置かなければならない場合はどんな時であったか
②について、美容室が備えておかなければならない採光、照明、換気に関する条件が何であったか
を再度確認してください。試験でよく出るところです!

③については、読んでみて「まぁそうでしょ。」と思えるくらいのことですよね。
開設者が自分の美容室で無資格者や働いてはいけない美容師を働かせることが良くないことだということは直感的にわかると思います。
この場合、美容室には閉鎖命令が、無資格者は30万円以下の罰金、業務停止中の美容師は免許取消処分がそれぞれ出されるおそれがあります。

閉鎖命令は、都道府県知事(又は保健所設置都市市長)が出します。

罰金

次に、罰金について説明します。

開設者が以下のルールに違反した場合、その開設者自身が30万円以下の罰金の処分を受ける恐れがあります。
①開設前の開設の届出・開設後の変更届を怠った場合
②使用前に美容室の検査確認をしないまま美容室を使用した場合
③閉鎖命令に違反して美容室の使用を続けた場合

①については届出すべき事項が何であったのかを確認してください。よく出ます。
②検査確認として確認される事項は、開設後に備えておかなければならない衛生措置と同じです。採光、照明、換気についてどのような条件を備えておかなければならなかったかを確認してください。
③は、なんとなくだめだって分かりますよね。美容師が行政処分に違反した場合は免許取消処分ですが、開設者の場合、閉鎖命令に従わなかったら罰金です。

最後に

今回は、開設者が義務を怠った場合の罰についてお話しました。
開設者が受ける罰と美容師が受ける罰とが混乱してきている人もいるかもしれません。
そういった人は、美容師がルール違反をした場合の罰について改めて読んでおかれてください。

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この記事を書いた人

宮田総合法律事務所所属弁護士(熊本県弁護士会・59900)
熊本生まれ。出水南→熊大附属→熊本→熊本(法・法科)→72期・熊本。
平成30年司法試験合格,平成31年・令和元年司法修習
令和2年1月熊本県弁護士会登録、同年5月第2回外国人実習雇用士試験合格
九州美容専門学校にて関係法規担当(令和2年~)

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