美容師法のポイント

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本ブログの管理人は,熊本県弁護士会所属の弁護士です。

理容学校にて関係法規を2年教え,現在は美容学校にて関係法規の科目を担当しています。

まずポイントを押さえよう

関係法規は、【美容師法・理容師法】という、日常の生活でなじみのない法律に関する分野であるため、美容師・理容師を目指される方にとって面白みのない(いわゆる「とっつきにくい」)科目だと思います。

そんな面白くもない科目のくせに試験問題50問中6~7問出題されます。
しかも、関係法規は試験問題の一番初めの部分に設定されているので、いたずらに時間をかけてしまう人も多いのではないかと思います。

関係法規の教科書は、文字だらけで、書いてあることも意味不明であるため、読む気がしません。
関係法規の授業中寝ないで起きていることが奇跡だと思っている人もいるのではないでしょうか。

みなさんにとって退屈でつまらん面白みのない関係法規だからこそ、ポイントをきっちりと押さえることで、試験に合格するためにどこを押さえればよいのかがわかります
そこで、まずは美容師法・理容師法のポイントを見ていきましょう。
なお、【美容師・理容師】タグの記事は、美容師法を基に作成していますが、基本的に理容師法にも共通する話です。
美容師試験を受験される方のみならず、理容師試験を受験される方も参考にされてください。

ポイント1 美容師と開設者の義務に注目

美容師法では、主に美容師開設者という登場人物が出てきます。
そして、それぞれが守らなければならない義務(ルール)や、義務に違反をした場合の制裁(罰)が異なります。
あやふやな知識だと、試験中に問題を読んでいて混乱してしまいます。

そこで、
・美容師、開設者になれる人はどういう人か
・美容師、開設者になる前にすべきこと(義務)は何か
・美容師、開設者になった後にすべきこと(義務は)何か
・義務に違反した場合の罰則が何か
に注目することが大切です。

ポイント2 罰則に注目

ポイント1でも話しましたが、美容師や開設者が義務を怠った場合には制裁(罰)が与えられます。
この制裁(罰)を与える人は誰でしょうか。
また制裁(罰)には名前がついています。
この制裁(罰)の名称が何であるかも非常に重要です。

そこで
・制裁(罰)を与える人は誰か
・制裁(罰)の名前は何か
・制裁(罰)を受ける人は誰か
・制裁(罰)を受ける人は何をしたのか(どのような義務を怠ったのか)
に着目することが大切です。

ポイント3 美容師法の性質

一気に難しい話になりますが、法律には必ず「立法目的(どうしてこんな法律をつくったのか)」又は「保護法益(法律が保護しようとする利益)」というものが存在します。
法律の各条文はその「立法目的」や「保護法益」に関係した作りとなっているので、法律の「立法目的」、「保護法益」を理解しておくことで、各条文が存在する意味が分かってきます。

関係法規で扱う美容師法・理容師法は、衛生行政に関する法律の一つです。
美容師法1条も、「公衆衛生の向上」をその目的に掲げています

美容師法 第1条
この法律は、美容師の資格を定めるとともに、美容の業務が適正に行われるように規律し、もつて公衆衛生の向上に資することを目的とする。

衛生行政に関する法律として、美容師法の他には食品衛生法や旅館業法があります。
みなさんが日頃口にする食品が適切に管理されていなければ雑菌などが繁殖し、それを食べてしまった人の健康が害されてしまうことは容易に想像がつきますよね。
また、適切な管理がなされていない(ちゃんと洗っていない)旅館の共同浴場には入りたくないですよね。
このように衛生行政に関する法律は、皆さんの健康や生命・身体の安全を守るために制定されています。
そして、美容師法・理容師法もこの衛生行政に関する法律の一つであることは先ほど説明した通りです。

美容師の行う美容業は接客業で、お客さんとの距離が近いです。
今年(2020年)に大流行した新型コロナウィルスの時に話題となった「ソーシャルディスタンス」を守ろうとすれば髪は切れないですよね。
お客さんとの距離が近い美容師がどのような病気(特に感染性の病気)にかかっているのかという点は割と重大な話です。
さらに、ウィルスや菌が蔓延した美容室・理容室を利用するのは危険な気がしますよね。
こういった際、美容師法・理容師法は、利用者の公衆衛生の向上(=健康、生命、身体の安全を守るための)対策を設けています。
この利用者(国民)の公衆衛生の向上(=生命・身体・安全を守ること)が目的であるというところをよく押さえておいてください。

最後に

いかがだったでしょうか。
関係法規の勉強を始めるにあたって、上記3つのポイントを頭にいれて勉強するのか、やみくもに暗記をするのかでは、効率に大きな影響があります。
3つのポイントをまず押さえてもらった上で、残りの記事を読まれてください。

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この記事を書いた人

宮田総合法律事務所所属弁護士(熊本県弁護士会・59900)
熊本生まれ。出水南→熊大附属→熊本→熊本(法・法科)→72期・熊本。
平成30年司法試験合格,平成31年・令和元年司法修習
令和2年1月熊本県弁護士会登録、同年5月第2回外国人実習雇用士試験合格
九州美容専門学校にて関係法規担当(令和2年~)

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