前回までは美容師法の義務を守らなければならない側の人たちの話をしてきました。
今回は、美容師や開設者がちゃんとルールを守っているかを監視する役割をもつ保健所についてのお話です。
この記事では
・保健所ってなに?
・環境衛生監視員ってだれ?何をするの?
・立入検査を邪魔したらどうなるか?
これらの疑問にお答えしています。
ー目次ー
本ブログの情報提供者
本ブログの管理人は,熊本県弁護士会所属の弁護士です。
弁護士のほかには,外国人実習雇用士という資格試験に令和2年に合格しました。
また,理容学校にて関係法規を2年教え,現在は美容学校にて関係法規の科目を担当しています。
美容師試験の勉強のために本ブログを読むかたは「美容師法のポイント」をまずお読みください。
このブログ自体を初めて読まれる方は時間があれば「本ブログの説明」も併せてお読みください。
そもそも保健所ってなに?
上にも書きましたが、今回は保健所についてお話します。
でも、「保健所って何?」「保健所は何するところなの?」というのが皆さんの率直な感想だと思います。
正直、関係法規をやるまで私もよく知りませんでした。
ただ、今後美容業界や飲食店経営を視野に入れている人にとって保健所は足向けて寝られない大切な存在ですので、しっかりと押さえておきましょう。
保健所は、美容師や美容室がちゃんとルールを守っているか監視する役割を担っています。
このような役割は、地域保健法に定められています。
(たまに「保健所法に定められている」という引っかけ問題がありますのでご注意を)
地域保険法によれば、保健所設置の目的は、地域における保健対策が総合的に推進されることを確保し、地域住民の健康の保持及び増進に貢献すること、とされています。
これは美容師法の目的である、利用者の健康、生命、身体の安全に繋がるところがありますよね。
保健所を設置することができる公共団体も決まっており、
①都道府県、②保健所設置都市(指定都市、中核市、政令指定都市)、③東京特別区
は保健所を設置することができます。
業務停止処分や閉鎖命令を行うのは、都道府県知事(又は保健所設置都市市長)でしたけど、この保健所設置都市市長というのは②や③の首長が該当します。
保健所の業務
続いて保健所の業務を見ていきましょう。
保健所には、環境衛生監視員という役割の人がいます。
そして保健所から各美容室に環境衛生監視員が派遣されます。
環境衛生監視員は、各美容室について、必要があると認めるときには立入検査をすることができます。
必要があると認めるときってのは、定期的な検査の場合もあれば、利用者からの通報を受けた場合もあります。
立入検査は、美容師や開設者がちゃんとルールを守っているかを確認するためのものですから、抜き打ちで且つ美容所関係者の承諾なく行われます。
抜き打ちでいきなり美容室にやってくるのですから、働いている美容師や開設者としては「こいつ誰やねん?」状態ですよね。
そこで、立入検査を受ける側の美容師や開設者は、環境衛生監視員に対し、身分証の提示を求めることができます。
立入検査は抜き打ちでなされるので、いざ「いま見られたら・・・やばい!」となる人もいるかもしれません。
しかし、「閉鎖命令や業務停止処分を受けたくない!」と思って、立入検査を阻止した場合、その人には30万円以下の罰金が科される恐れがあります。
これは美容師や開設者だけでなく、その家族(つまり無資格者)も含まれますのでご注意ください。
この立入検査で、美容師がルールを守っていないことが判明すれば、その美容師には業務停止処分が出る可能性がありますし、美容室には閉鎖命令が出される可能性があります。
さらに美容室内で無資格者や業務停止処分中の美容師が働いていることが判明した場合、美容室には閉鎖命令が出される可能性があります。
最後に
今回は保健所についてお話しましたが、いかがだったでしょうか。
保健所や環境衛生監視員という新たな言葉が出てきたので覚えることが増えてうんざりしていることと思います。
ただ、環境衛生監視員の行う立入検査はよく出題されていますので、しっかりと押さえておいてください。