今までは,美容師や開設者などが負う義務やその義務を怠った場合の罰(ペナルティ)や,美容師や開設者を見張る機関としての保健所について解説してきました。
今回は,それらを規定している美容師法についてと,法律と政令と省令と条例について説明します。
今回の記事で,
美容師法ってなんで存在するの?
法律と条例って何がちがうの?
といった疑問にお答えします。
ー目次ー
本ブログの情報提供者
本ブログの管理人は,熊本県弁護士会所属の弁護士です。
理容学校にて関係法規を2年教え,現在は美容学校にて関係法規の科目を担当しています。
美容師試験の勉強のために本ブログを読むかたは「美容師法のポイント」をまずお読みください。
美容師法ってなんであるの?
美容師試験を受ける皆さんにとって,美容師法を学ぶ(関係法規を学ぶ)ことって,仕事に何の影響もないし,正直面白くもないですよね。
ただ,美容師法がないとどうなるでしょうか。
・免許をもっていない人に髪を切られる
・前の客に使ったはさみやタオルがそのまま自分に使われる 等
ルールが存在しなければこういったことが起きる可能性があります。
美容師法が存在するおかげで,美容室を利用するお客さんの健康や身体の安全が保護されます。
美容師法1条は,美容師法の目的について定めています。
美容師法 第1条
この法律は、美容師の資格を定めるとともに、美容の業務が適正に行われるように規律し、もつて公衆衛生の向上に資することを目的とする。
ここに書いてあるように「公衆衛生の向上」これが美容師法の目的です。
「美容師法のポイント」でも話しましたが,美容師法の目的を理解することは,関係法規についての理解を手伝ってくれるものです。
この美容師法1条はそんまま出題されますので、しっかり覚えておいてください。
過去の記事で出てきましたが,美容師や開設者は,様々な衛生面での義務を負っていましたね。
この義務を守らせることで,美容室を利用する人の健康,身体の安全を保護しようと考えているわけです。
例えば「美容師が使う器具を客一人ごとに取り換え,消毒しましょう」というルールがあったと思いますが,このルールがなければ「前どんなお客さんに使ったかわからない器具を自分に使用されてしまう」とおびえることになりますね。
また,「作業面の照度は100ルクス」というルールもありますが,真っ暗だと自分が何も見えなくて怖いのはもちろん,美容師が作業している手元も見えないんだから,「ハサミで切っているときにケガさせられるんじゃないか」とおびえることになります。
美容師法が色んな規定を設けているため、こういったことが起こらないようになっています。
最後に・・・
そのほか、条例で定めることのできるものとして
①美容師が守るべき衛生措置
②美容室が備えるべき衛生環境
③美容師が出張美容(美容所外での美容)をできる場合
があります。
ここも出ますので覚えておいてください。